2ローターロータリーエンジン
ローターを2個並べたロータリーエンジンのこと。
ロータリーエンジン はローターの1回転ごとに1回の膨張行程があるが、これはレシプロエンジンの2サイクルエンジンと同じで、安定した回転を得るには複数個のローターを使うことが望ましい。
2ローターロータリーエンジンは4サイクルの4気筒エンジンに相当し、3ローターロータリーエンジンは6気筒エンジンに相当することになる。
なお、ロータリーエンジンの排気量は一つの作動室の容積(最大容積−最小容積)×ローター数であらわされる。


3ローターロータリーエンジン
ローターを3個並べたロータリーエンジン。
4サイクルレシプロエンジンの6気筒エンジンに相当する。マツダコスモに採用された。


13A
1969年登場の「ルーチェロータリークーペ」にのみ搭載された幻のエンジン。
ほかのロータリーとは異なる外径の大きいローターを持っていた。
わずか8ヶ月で生産中止となったが、ロータリー唯一のFF用エンジンとして、歴史に名を刻んでいる。
REAPS
ロータリーエンジンの排出ガス浄化装置の名称。
ロータリーエンジンの排出ガスはNOxは少ないがHCが多いという特徴があるが、このHC及びCOをサーマルリアクターで燃焼させて無害にするシステム
1969年10月、マツダR100(ファミリアロータリークーペ)が米国の排出ガス規制に初めて合格したときに装備されたもの。


ROSCOシステム
マツダの2層吸気式ロータリーエンジンで、ペリフェラルポートとサイドポートの二つの吸気ポートを持ち、負荷の低い状態ではペリフェラルポートから吸入された空気に燃料を噴射して燃焼させ、高負荷になるとさらにサイドポートからも多量の空気を吸入して出力を高めるもの。
アペックスシール
ロータリーエンジンのローターの三角形の頂点(アペックス)に取り付けられている部品で、ローターハウジングの内面を気密を保ちながら滑り、ペリフェラルポート式エンジンの場合、吸排気バルブの働きも行うもの。
マツダがバンケル型ロータリーエンジンの開発にあたって最も苦心したのは高温、高圧の燃焼ガスにさらされる摺動面に適度な油膜を保持することと、シール性と耐久性のよい高強度カーボンシール開発であったといわれる。
現在は特殊な金属で作られている。


位相歯車機構
ロータリーエンジンでローターの回転運動を規制するための機構で、バンケル型ロータリーエンジンではサイドハウジングに固定されている外歯歯車(固定歯車)と、ローターに取り付けられている内歯歯車(ローター歯車)のギア比を2:3とし、ローターと出力軸の回転比が1:3になるように設定されている。

インターミディエイトハウジング
二つ以上のローターをもつロータリーエンジンのサイドハウジングで、各ローターの仕切りとして使用されるもの。インターミディエイトは中間を意味する。

エキセントリックシャフト
ロータリーエンジンから回転力を取り出す軸で、ローター軸受と接合されるロータージャーナル部と、サイドハウジングのメインベアリングに支えられるメインジャーナル部からできており、回転運動による慣性力とバランスをとるための重りが取り付けられている。
また出力軸の前端にはVベルトを駆動するためのプーリーが、後端にはフライホイールが組み込まれる。
回転燃焼機関
ロータリーエンジンのこと。

可変A/Rターボシステム
A/R(エーバイアール)を可変にし、低回転時に小さく、高回転時に大きくなるようにすれば、ハイパワーでしかも回転の低い領域からレスポンスの良いエンジンを得ることができる。
マツダ13Bロータリーエンジンのツインスクロールターボでは排気ガスの流入口を二つに分け、低回転では一方のみ、高回転では両方を使ってA/Rをコントロールしている。
サーマルリアクター
二次空気供給装置のこと。
サーマルは熱、リアクターは反応器のことで、エキゾーストポートの近くに取り付けられており、新しい空気を送り込んで排気ガス中のHCやCOを完全に燃焼させる装置。


サイドハウジング
ロータリーエンジンのハウジングで、ローターを横から保持するもの。
中央にローター歯車とかみ合う固定歯車が取り付けられ、サイドポート式では吸排気のための穴(サイドポート)があけられている。


サイドポート式
ロータリーエンジンの吸気ポートをサイドハウジングに設ける方式で、ポートをローターハウジングに設けるぺリフェラルポート式と対に使われる用語。
ローターの回転方向に対して横から吸気が入るので、高回転時の吸気効率は劣るが渦流が起こりやすく、吸排気のオーバーラップが少ないので安定して燃焼が得られるという特徴があり、乗用車用ロータリーエンジンでは吸気ポートとしてサイドポート式が、排気ポートとしてぺリフェラルポート式が使われるのが一般的である。


シーケンシャルツインターボシステム
過給システムの名称で、2基のターボチャージャーを続けて(シーケンシャル)並べ、低速域では1基のみで過給して小さな回転部分の慣性モーメントで過給効率を上げ、高速域では2基をフルに稼動させるもの。
回転の切り換えはマイコンによって行われ、低速域から高速域までなめらかな加速性能が得られるように制御される。


シックポートインダクション
ロータリーエンジンの可変吸気機構で、一つのローターに二つの吸気ポート(プライマリーとセカンダリー)をもつ吸気システムのセカンダリー側にバルブで開閉する補助ポートを設けたもの。
低速回転ではプライマリーポートのみを使用し、高速または高負荷になると逐次セカンダリーポートと補助ポートを開閉する仕組みになっている。2ローターエンジンで合わせて6つのポートをもつことから名付けられた。6PIと略される。
チャターマーク
バンケル型ロータリーエンジンの開発当初ローターハウジングの内周に発生した波状の磨耗痕のこと。
トロコイド面でアペックスシールが一種の摩擦振動(チャター)を起こすことによって生じ、このマークの発生を止めることがロータリーエンジン開発のための重要課題の一つであった。
「悪魔の爪跡」とも呼ばれた。


ツインスクロールターボ
マツダの可変A/Rターボシステムの名称。排気タービンへの吹き出し口を二つ(ツイン)設け、低回転では一つの吹き出し口に排気を集中し、高速回転では両方を使用してターボの効率化をはかるもの。
切り換えはエンジンの運転状況に基づきコンピュータ制御によって行われる。


ツインプラグエンジン
一つの燃焼室に二つ(ツイン)の点火プラグを備えたエンジン。
燃焼室の2箇所に点火することによって燃焼速度を速くし、薄い混合気でも効率よく燃焼するようにしたもの。
ロータリーエンジンでは燃焼室が扁平になるのでプラグが2個使用されることが多い。 最初に点火する下側のプラグがリーディング、続いて点火する上側のプラグをトレーリングといい熱価が異なる。


ハウジング
ロータリーエンジンの本体をなす部品で、レシプロエンジンのシリンダーブロックとシリンダーヘッドに相当するもの。
内面がぺリトロコイド曲線の形をした筒状のローターハウジングと、これを両面から支える側壁(サイドハウジング)からできている。


バンケルエンジン
ドイツのバンケルによって実用化されたロータリーエンジンのこと。

ぺリトロコイド
バンケル型ローターリーエンジンで、繭形のローターハウジング内壁面のなす曲線のこと。
半径pの円(基円)の外周に内接する半径qの円(転円)にアームを固定し、転円をすべることなく回転させたときにアームの先端Pの描く曲線として定義される。
バンケル型ロータリーエンジンでは基円の外歯歯車と、転円の内歯歯車の歯の数を2:3にしたときにこの形となる。


ぺリフェラルポート式
ロータリーエンジンの吸排気ポートの配置方式の一つで、ポートをローターハウジングの内周(ペリフェラル)に設けたもの。
ポートをサイドハウジングに設けるサイドポート式と対に使われる用語。ポートがアペックスシールによって開閉され、気流の方向がローターの回転方向と同じなので吸排気抵抗は少ないが、シールがポートを上を通過するときに両側の作動室がつながるという作動上の特徴があり、吸気ポートとして使った場合、排気行程と吸気行程の作動室がつながるので低回転時のは吸気に燃焼ガスが混入して燃焼が不安定になる。
乗用車用エンジンの吸気ポートはサイドポートが用いられ、レース用エンジンでは吸排気ポートともにペリフェラルポートが使われのがふつうである。


マルチサイドポート式
現行までのロータリーエンジンは、吸気ポートがサイドポート形状、排気ポートがペリフェラルポート形状になっている。
マルチサイドポートは排気側にもサイドポートを採用したもの。マルチサイドポートにすることで、ポート形状の設計自由度が高くなり、また未燃焼ガスの発生も抑えられることから、燃焼効率が向上し燃費も良くなる。
ローター
回転体という意味から、ロータリーエンジンで燃焼ガスの膨張力を回転力にかえる三角のおむすび形の部品。
レシプロのピストンとコンロッドの働きをすると同時に、ローターハウジングの中を回転することによって吸排気バルブの働きもする。
三角の頂点にアペックスシール、側面にサイドシール、コーナーシール、オイルシール、中心にサイドハウジングに固定される固定歯車とかみ合うローター歯車と、動力を取り出すためのローター軸受が取り付けられている。


ローターハウジング
ロータリーエンジンのハウジング。
内面をローターのアペックスシールが気密を保ちながら滑っていき、吸気から排気にいたる各行程が同じ箇所で行われるので、ハウジングの各部分の温度や受ける圧力が異なるなど使用条件がシビアで、材料の選択と加工に特殊な技術が要求される。


ロータリーエンジン
クランクを用いず、混合気の爆発力をローターによって直接回転力に変えて動力を得るエンジン。
自動車用としてはドイツのバンケルによって実用化され、マツダで量産されたものが最も普及しており、繭の形をしたローターハウジングと、三角形のおむすび形のローターとの間に3つの三日月形の作動室が形成され、ローターの回転にともなって、この作動室の容積が変化し、吸入→圧縮→膨張→排気の行程が連続して行われる。
レシプロエンジンと比較し、クランク機構と吸排気バルブ機構がないため小型・軽量でシンプルという特徴を持つが、燃焼室が偏平で完全燃焼が得にくく、シール機構が複雑なためオイル消費量が多い。
現在このエンジンを量産しているのはマツダのみ。


ロータリーピストンエンジン
ロータリーエンジンのより正確な言い方。







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